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Eat me 完熟媚肉と秘蜜のレシピ
第2章 2皿目
それでもその物体は私の知っている玉子とは形こそ似ていても、全く違うものだった。真っ黒だと思っていた色は間近で見ると透き通っており、よく知るたんぱく質とプリン体の塊というより、玉子の型に固めたコーヒーゼリーみたいだ。ぶよぶよした見た目だけでも不気味なのに、その表面に走らせている白カビの様な模様がよりその気味の悪さを際立たせている。
「なにこれ…気持ち悪い。腐ってるじゃない…」
私は本人がいないのをいいことに、嫌悪感を露にして瀨尾君の好意の品を貶す。いつもお世話になっているお店で売ってる物だから、腐っているなんてことは到底考えられないけど、これは誰がどう見ても食べ物なんかじゃない。特にこのカビみたいなの…ひとつやふたつだけじゃない。無数に広がっているのが何より私を総毛立たせる。
これならいっそ真っ黒の方がまだマシだ。まるで無垢の身体だったのに、触れてしまったがために得体の知れない何かに侵食されてしまったような…そんな虫酸が走る気色悪さにえずきそうになり、今すぐにでも洲の手から奪い取って握り潰したい衝動に駆られる。
「腐っているなんて言っちゃいけないよ。熟成してるって言わなきゃ。見た目は難ありだけど美味しいんだよ、これ」
洲はそう言ってまな板にダークマターを乗せると、慣れた手付きで櫛切りにしていく。何等分にも薄くスライスされていく元鶏卵だったものは、せめて中身位は美味しそうな黄色をしていてくれという私の期待を裏切り、黒ずんだ黄身を露にしてよりその気味の悪さを強める。こっちは嘔吐したくてたまらないのに、そんな私に対し洲は嫌がらせかと疑う程に、「ほら。」と口に入れるように催促してくる。
「なにこれ…気持ち悪い。腐ってるじゃない…」
私は本人がいないのをいいことに、嫌悪感を露にして瀨尾君の好意の品を貶す。いつもお世話になっているお店で売ってる物だから、腐っているなんてことは到底考えられないけど、これは誰がどう見ても食べ物なんかじゃない。特にこのカビみたいなの…ひとつやふたつだけじゃない。無数に広がっているのが何より私を総毛立たせる。
これならいっそ真っ黒の方がまだマシだ。まるで無垢の身体だったのに、触れてしまったがために得体の知れない何かに侵食されてしまったような…そんな虫酸が走る気色悪さにえずきそうになり、今すぐにでも洲の手から奪い取って握り潰したい衝動に駆られる。
「腐っているなんて言っちゃいけないよ。熟成してるって言わなきゃ。見た目は難ありだけど美味しいんだよ、これ」
洲はそう言ってまな板にダークマターを乗せると、慣れた手付きで櫛切りにしていく。何等分にも薄くスライスされていく元鶏卵だったものは、せめて中身位は美味しそうな黄色をしていてくれという私の期待を裏切り、黒ずんだ黄身を露にしてよりその気味の悪さを強める。こっちは嘔吐したくてたまらないのに、そんな私に対し洲は嫌がらせかと疑う程に、「ほら。」と口に入れるように催促してくる。