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Eat me 完熟媚肉と秘蜜のレシピ
第2章 2皿目
「むふっ…ちゅうぅう…しおり…」

 洲は唾液一滴たりとも逃すつもりはないのか、一度私の唇から離れると下顎に再び吸い付き、口角を沿うように上方へ滑らせては私の名前を囁いて、流れるような動きでディープキスを再開する。息継ぎのタイミングだったのに、洲の鮮やかなキス捌きについてこれなかった私は、酸欠気味の苦しみから逃れたくて、塞がれていない鼻腔で酸素を取り込もうと躍起になる。

 大きく息を吸う度に、私の身体は何とも形容しがたい香りで満たせれていく。さっきまで私の体を蝕んでいたアンモニアの毒気は、洲の執拗な口技を前に消えさり、代わりに洲の唾液と口臭が混ざりあった催淫ガスに変貌を遂げていた。口だけじゃない。鼻からも雄フェロモンとでも呼ぶべき、香りそうで香らない微香が体内に侵食してきて、それらが脳内で私特効の媚薬へと作り替えられていく。

「れふっ!! ふぅうぅうー…うぅううふぅううう!!」

 酩酊する意識で何とかこの息苦しさから逃れようと後ずさるも、私を支配しつつある洲には私の思考などお見通しなのか、私の動きと同時に前身しては唇を一縷の隙間も開けることなく壁際まで寄せていき、終いには両手を目一杯広げてうなじから後頭部にかけて覆いつくす。

 別にそれで私を力付くで抑え付ける訳でもなく、ただ触れているだけで何もしてこないのだが、それがより一層私をキスの責め苦から縛り付ける。性暴力一歩手前のギリギリの瀬戸際まで追い詰める癖に、胸を揉まれるでもなく、じくじくと疼きに疼く奥をいじくられることもない。私が抵抗しようと思えばいつでもできる余地を残す、洲の卑怯極まりない力加減に、結局私は洲が堪能し尽くすまで流されに流されてしまった。
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