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Eat me 完熟媚肉と秘蜜のレシピ
第2章 2皿目


 脊髄からつむじにかけてぴりっと電撃が走った瞬間。プチンと何かが弾けとんだ音が内側から響き渡り、雷鳴と共に下界に放出された。それと同時に私は胸から下を欠いた生き物になった。
 
 50センチも満たない身長のはずなのに、私の体は地上より遥か高い位置にあった。ここは…空の上だろうか? ゆっくり下を見下ろすと、一子乱れず縦に整列している茶色の木々達が、厚い肌色の雲に収まりきらなくなった恵みの雨に濡られてキラキラと発光していた。何だか嬉しそうだった。

 こんなにも地上が見えるってことは、私…空に行けたんだ…

 でも、羽なんてないのにどうやって?
 頭がぼんやりして、何にも思い出せない…

 そういえば、どうして私は羽が無いのに下に落ちないんだろう?
 何か、誰か私の後ろにいる気がする。でもそれは気のせいだろう。だって空に住んでいる生き物なんて鳥しかいないし、鳥にしては大きすぎる。

 ということは、これはきっと神様って呼ばれているひとに違いない。私、神様に会っちゃったんだ。ラッキーだと思いつつも、何だか期待外れだ。

 だって神様って何か凄いひとだって聞いてたのに、ぼそぼそと何か喋っているだけで、何もしてくれないんだもん。空の上はこんなにも肌寒いのに、何もしてくれないなんて神様って思っていたよりも酷いひとなんだね…そもそも『ひと』なのかな?

 なんか…空って嫌だな。寒いし、凄く寂しい。
 あそこに戻りたいな…あの茶色一色のつまんなそうだけど、暖かそうな下の世界。
 お願い神様。私はこんな所よりも、あそこに行きたいの。

 お願い…
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