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熟女と少女の間には(若妻の公認交尾報告パート1)
第2章 嫉妬
互いの手を握り締めたまま、私たちは大きく笑いあった。無論私の胸の内では、フツフツと嫉妬の炎が燻っていたが。
「いえいえ、名古屋なんて所詮都会の部分はこれっぽっち」そう言って、脇田は指先で僅かな隙間を作ってみせたが、私にとっては握手を解くいいきっかけとなってくれた。「一歩裏に行けば、もうそこは田んぼか山ですからね」
二人はまた声を上げて笑った。そうしながらも私は内心隣に立っている美香のことが気になって仕方がなかった。
顔を見てみたいのは山々だったが、見たくないという気持ちもあり、結局まともには見れずにいた。おそらくはにかむような所在なさそうな笑みを浮かべて静かに立っていたに違いない。
その美香に脇田が眼をやった。
「み……いや、奥さんもお元気そうで。いやまったく若々しい。昔とちっとも変わりませんねぇ。やっぱりお子さんがいないからですかね」
「また、相変わらずお上手なこと。て……いや、脇田さんこそぜんぜん昔のまま。そちらもお子さんはまだなんですか?」
「ええ、と言うより女房があまり子どものことを好きじゃなくて……」
他愛のない世間話が二人の間で続いていた。そのやりとりに相槌を打ったり愛想笑いを浮かべながら、私はひとり心のなかで妄想を逞しくしていった。
脇田はつい、『み』と口走った。つまり『美香』と言おうとして思いとどまったのだ。以前親しげにそう呼んでいたように。
そして美香もまた、『て』と言おうとして慌てて名字に置き換えた。美香もまた脇田の名前である、『哲夫』がつい口をついて出そうになったのだ。
いまでも自然に口をついて出る互いに愛し合った頃の親しげな呼び名……。
私はそれだけで胸がか~っと熱くなっていた。
脇田は私たちの結婚後、すぐに名古屋に異動となり、たちどころに結婚したというのは聞いていたが、どうやら子どもは作らない主義のようであるらしい。
脇田が名古屋に行ったのは、なにも私の出現に起因したわけでも三角関係のもつれからでもない。
純粋に社の異動辞令に従ったまでで、元々私が美香と出会った頃には二人は少し冷めた関係で、私が脇田から恨まれたり妬まれたりするような筋合のものではない。
「いえいえ、名古屋なんて所詮都会の部分はこれっぽっち」そう言って、脇田は指先で僅かな隙間を作ってみせたが、私にとっては握手を解くいいきっかけとなってくれた。「一歩裏に行けば、もうそこは田んぼか山ですからね」
二人はまた声を上げて笑った。そうしながらも私は内心隣に立っている美香のことが気になって仕方がなかった。
顔を見てみたいのは山々だったが、見たくないという気持ちもあり、結局まともには見れずにいた。おそらくはにかむような所在なさそうな笑みを浮かべて静かに立っていたに違いない。
その美香に脇田が眼をやった。
「み……いや、奥さんもお元気そうで。いやまったく若々しい。昔とちっとも変わりませんねぇ。やっぱりお子さんがいないからですかね」
「また、相変わらずお上手なこと。て……いや、脇田さんこそぜんぜん昔のまま。そちらもお子さんはまだなんですか?」
「ええ、と言うより女房があまり子どものことを好きじゃなくて……」
他愛のない世間話が二人の間で続いていた。そのやりとりに相槌を打ったり愛想笑いを浮かべながら、私はひとり心のなかで妄想を逞しくしていった。
脇田はつい、『み』と口走った。つまり『美香』と言おうとして思いとどまったのだ。以前親しげにそう呼んでいたように。
そして美香もまた、『て』と言おうとして慌てて名字に置き換えた。美香もまた脇田の名前である、『哲夫』がつい口をついて出そうになったのだ。
いまでも自然に口をついて出る互いに愛し合った頃の親しげな呼び名……。
私はそれだけで胸がか~っと熱くなっていた。
脇田は私たちの結婚後、すぐに名古屋に異動となり、たちどころに結婚したというのは聞いていたが、どうやら子どもは作らない主義のようであるらしい。
脇田が名古屋に行ったのは、なにも私の出現に起因したわけでも三角関係のもつれからでもない。
純粋に社の異動辞令に従ったまでで、元々私が美香と出会った頃には二人は少し冷めた関係で、私が脇田から恨まれたり妬まれたりするような筋合のものではない。