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Kiss Again
第13章 白いパーカー
スターダストの扉を開けると ちろん、というかすかなベルが鳴る。
奥の席に座っている愛美が 顔を上げて こっちをみる。
あっ・・・という唇の形になり 声には出さなかったけど「周くんだ」と言った。
大丈夫だと 訳もなく 思った。
「マスター 何か食べれるもの 作って」
「うちは 食べれるものしか作らないよ」
「じゃあ それで。 愛美も 何か食べる?」
マスターの眉が 敏感に 少し上がった。
「わたしも 同じ 食べれるものを」
出てきた生姜焼きを 愛美が食べきれず残したものを おれが食べてしまうと マスターは はっきり眉を上げた。
会計のときに 二人分をおれがカードで支払おうとすると わざとらしく流し目でカードを受け取った。
揃って店を出る時は 金曜日で混んでいるにもかかわらず バイトのトシくんは 扉のところまで送ってくれた。
「なんか・・・ マスター・・・ ヘンだった?」
「ううん。 いつも通り」
ヘンなのは 多分 おれたち。 そう思うと 可笑しかった。