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Kiss Again
第13章 白いパーカー
パジャマの中に手を入れ じかにおっぱいに触った。 この肌にふれるのに 飢えていた。 やっとたどりつけた。 可愛い おれの手の平サイズ。
「愛美 好きって言う前に ・・・して ごめん」
愛美は 首を捻って おれの顔をみた。 驚いた表情だ。
「ヘンかもしれないけど 言っておきたかったんだ。 あのときは つけこむようなことして ごめん。 あんな始め方で ごめん」
愛美は 何度も瞬きをした。 何か言おうとしているのに 言葉が見つからない感じだ。 身体をずらして おれの顔を ひんやりした両手ではさんだ。
「だから・・・周くんがすき・・・」
その言葉は 時間をかけて おれの深いところまで沁み込んだ。
隙間が 少し埋まった。
甘くて柔らかい唇に キスをした。 もっと埋めたい。
細い肩を抱き寄せた。 もっと もっと埋めたい。
「土日に 中野に行ってもいい?」
また 急いで瞬きをした。 愛美の濃い睫毛が 音をたてるのではないか、というくらい。
「じゃあ・・・ その後 中野から高円寺に来てもいい?」
「じゃあ 高円寺に泊まっていくのも いいんじゃあないか?」
「でも・・・ それだと 恋人みたい・・・」
「おれ・・・ ”あゆ先生の彼氏さん”って呼ばれたけど 恋人じゃあないの?」
また 愛美が瞬きをする。 今度は 浮かんできた涙をごまかすためだった。 愛美の濃い睫毛の上に 小さな涙がとまっている。
テレビでは ヒロインが 泣きながら何かを訴えている。 愛美は そのシーンをしばらく見つめていた。
「恋人・・・だったら・・・ いいな」
「おれも。 いいな、と思う」
「うん」
「こんな夜 もっとあるといいな、と思う」
「うん」
「朝も あるといいな、と思う」
「そう?」
「明日の朝 目が醒めても どこにもいかないで。 おれが目を醒ますまで どこにもいかないで」
「うん」
「それだけで いいと思う」
それは ささやかで贅沢だ。