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Kiss Again
第7章 横浜にて
やっぱり 思っていたより早く着いた。
山下公園の駐車場に車を停め 海に面した公園を歩いた。
潮のかおりと10月の陽ざしが とても気持ちいい。
沢山の人達が 休日を楽しんでいる。空は蒼く 海は深く 不幸の翳りもない。
海風にスカートをふくらませ おれを振り返り、振り返り ゆっくり前を歩く愛美が 他の人たちと違う理由がわかっ た。 姿勢がいいのだ。 ほっそりとした首をまっすぐに伸ばし 身体の芯を揺らさず 膝を曲げずになめらかに歩く。 絵本の挿絵が動いているようだ。
「バレエ やめたの?」
驚いた顔で 「バレエ?」
「辞めたわけじゃあないけど。 あんまり行ってない」 遠くをみる目。
部屋で過ごしたときに感じていた身近さが 外に出ると 不思議なくらい薄くなる。 愛美に触れるのも ましてやキ スするのは 気まずいような気がしてしまう。
「外人墓地の方へ 行ってみる?」
「歩いて? 結構 あるのよ。 周くん 疲れてない?」
「疲れてないか、って? おれのこと 誰だと思ってんの?」
「安部周人くん」
愛美がおれの名前をよぶと 特別な名前のような気がする。
山下公園の駐車場に車を停め 海に面した公園を歩いた。
潮のかおりと10月の陽ざしが とても気持ちいい。
沢山の人達が 休日を楽しんでいる。空は蒼く 海は深く 不幸の翳りもない。
海風にスカートをふくらませ おれを振り返り、振り返り ゆっくり前を歩く愛美が 他の人たちと違う理由がわかっ た。 姿勢がいいのだ。 ほっそりとした首をまっすぐに伸ばし 身体の芯を揺らさず 膝を曲げずになめらかに歩く。 絵本の挿絵が動いているようだ。
「バレエ やめたの?」
驚いた顔で 「バレエ?」
「辞めたわけじゃあないけど。 あんまり行ってない」 遠くをみる目。
部屋で過ごしたときに感じていた身近さが 外に出ると 不思議なくらい薄くなる。 愛美に触れるのも ましてやキ スするのは 気まずいような気がしてしまう。
「外人墓地の方へ 行ってみる?」
「歩いて? 結構 あるのよ。 周くん 疲れてない?」
「疲れてないか、って? おれのこと 誰だと思ってんの?」
「安部周人くん」
愛美がおれの名前をよぶと 特別な名前のような気がする。