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Kiss Again
第7章 横浜にて
「あっ 周くん みてみて」
 愛美は 思わずおれの二の腕に両手でつかまったのを まるで 熱いものに触れてやけどしたかのように 慌てて放し た。
 すこし 胸がきりっ、と痛んだ。
 
 愛美がみつけたものは 坂道の途中にあるホテルの階段を降りてくる花嫁だった。

 純白のウェディングドレスを着、ブーケを持つ手で 裾をたくしあげている花嫁を 階段の二段下で 同じように白い タキシードを着た花婿が手を引いている。 花嫁のベールが 天使の羽のように揺れる。
  満面の笑みを浮かべた二人を 階段の上から着飾った人々が花びらを振り落としながら 口々にお祝いのことばを叫 ぶように言い投げ 見送っている。
 階段の下には ”Just Married”とリアウィンドウに書かれた車が待っていた。 車は これでもかっ、というくら い 造花やリボンで飾られている。
 花婿が 車のドアを開けると 振り向いた花嫁が 大きく手を振り 持っていたブーケを放り投げた。 ブーケは 小さな放物線を描いたあと 階段の途中に落ち 見送りの人々が 「あぁーーー」と声を挙げた。
 誰も受け止めることができなかったブーケを  ピンク色のドレスを着た女の子が 駆けより 拾った。


 微笑まずにはいられない光景だった。

 愛美にも しあわせが伝染して 笑っている。
  おれも しあわせな気持ちで 愛美の頬に キスした。
 「横浜だなぁ」
 愛美も おれの頬にキスして
 「周くん 連れてきてくれて ありがとう」

 それから こだわりがなくなったように お互い振舞えた。
 だらだら坂を 手をつないで 登りながら 時折 ちゃんと隣にいるのを確認するように 温かく視線をかわした。 そのたび 愛美は ふんわり笑った。

 愛美から 大きな仕事をやり終えたあとの気だるげな無気力さが消えてゆき  おれは 愛美から大事なものを 無理やり奪ってしまったので はないかという恐れを 少しづつ飲み込んでゆくことができた。

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