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Kiss Again
第7章 横浜にて

 『港のみえる丘公園』で 港に浮かぶ船の灯りを見つめながら
 「小学校の2年生まで この近くに住んでいたの」
 「へぇ 横浜に住んでたんだ」
 「そのころは ここ こんなに観光地じゃあなかったのよ。 何にもなくて このベンチがあるくらいだった」

  観光バスの駐車スペースまである今からは 想像できない。

 おれ 愛美のこと ほとんど知らないよな。
 愛美も おれのこと あんまし知らないだろうし。
 それでも 今 こうして並んで 海を見ている。

 「この『港のみえる丘公園』っていう名前がすきで」
 「横浜という地で 死にたいと 思ってた」

 ぼんやり、と 愛美が言った。
 
 愛美の手を握った。冷たい手。

 「周くん」
 「ん?」
 「・・・・・」

 「おなか すいたね」
 
 おなかが空くということは もう「死にたい」とは 思っていないのだ、と思うことにして
 「中華街に行く?」
 「いくっ」

 外人墓地のフェンスを 愛美は 手をまっすぐに伸ばして 触れながら歩いた。
  それは 美しい姿だった。
 そして 悲しげだった。

 「たぶん 近道があるのよ。確か このあたりだったんだけど」
  愛美に導かれ 住宅街の坂道を 手をつないで降りた。
 「ここ パン屋さんだったのに」
  いつまでも 悲しそうにみえる。


 おれ 無力だなぁ。。。

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