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Kiss Again
第9章 朝になる
 ひとり部屋にもどると なんだか がらん、として感じられる。

 愛美がいなくなっただけで 何も変わっていないはずなのに。
 いつも休日は どうやって過ごしていたのか思い出せない。

 おれのTシャツを着て ハーフパンツがずり落ちるのを引っ張り上げて なんか部屋になじんでいた・・・気がして。

 愛美は ベッドを きちんと整えていた。
 いつ やったのだろう・・・

 ずっと素顔だった。
 化粧っけがないと 鼻の辺りに 少しそばかすがある。 それを見ると いつもお人形のようにみえる愛美が 人間らしく身近に感じられて 結構好きなんだけど。

 当たり前のように キッチンにいた。
 いつもそうしていたかのように ベッドに腰かけていた。

 「周くん」
 何度も 呼ばれた。
 
 「愛美」
 そう 声をかけると 振り向く。 こっちに向かってくる。
 ふんわり笑いながら 近づいてくる。

 そんな時間を 過ごした。


 あっ。 肉まん 食べなかった。
 それも冷凍庫で 干からびていくのかもしれないな。 あのフレンチトーストのパンのように。


 突然 気がついた。
 愛美の連絡先を 知らないことに。

 あんな心通じ合うような時間を過ごしたと言うのに 連絡先は交換していない。

 不思議だけど・・・
 それも 運命?  岩田みたいなことを考えた。


 まだ この時は それほど深刻には思えなかった。
 会社だって近いし 『スターダスト』でばったり会うことだってありそうだ。
 今まで そうだったように。


 ただ 愛美が その気にならなければ 会うことはないのだけど


 それから
 まるで仲村愛美という人間が 地球上からいなくなってしまったように 会うことはなかった。

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