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Kiss Again
第10章 スターダストにて
 忘年会が続き 人肌恋しくなる寒い夜。

 以前つきあっていた女の子の部署と 忘年会の会場がかぶった。

 相変わらず 顔を突き合わせると 気まずい空気になる。 少し前から こんなの駄目だよな、とは思っていた。別れ方が きれいじゃあなかったせいだろうけど いつまでもこんな気まずさは 馬鹿々々しい。

 二次会へと向かうために 店の外へ出たときに 思い切って 「ちょっと 話せる?」と呼び止めた。

 山川夏見は 驚いた顔をしている。

 「今日じゃあなくてもいいけど。 時間つくれる?」


 「これから、の方がいいかな。 周人の頼みは ことわれないし」

 やっぱり キレイな子だよな。 何がいけなかったのだろう?

 夏見は 一緒に来た人達のところに引き返し 「今日は ここで」と言っている。
 「えーーーっ 山川さん 帰っちゃうの?」
 「今日こそ 落とそうと思っていたのに」
 「ボクの メインディシュがぁ」
 などと 酔った同僚たちの声が聞こえる。

 まだ 恋人は いないんだろうな、みたいなこと考えた。


 「どこに 行く?」
 「そんなこと 考えもしないで 誘ったわけ?」

 別に 責めている様子ではなく 軽く言ってみたのだろう。 夏見も あの頃とは 変わっただろうし。

 近いから 『スターダスト』の名前を挙げると 
 「あそこ 結構 好きだった。 あれから 行っていないけど」

 そうだよな。
 ひとつのことが その後の人生を 少しづつ 変えたりするものだ。


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