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Kiss Again and Again
第12章 旅愁

 「わぁっ しんじられないっ!!!」
 浴衣や 半纏が 湯船の中で 浮き上がってくる。

 「はじめから 一緒に入ればいいのに」
 「ひどいっ 今夜は 何を着ればいいんですかっ」
 「なにも着なくていいよ」



 お湯でゆるんだ浴衣や半纏を 間単に肩からはぎとると キスが始まる。

 この人の破天荒さに 呆れながらも 惹かれてゆく。

 このキスも すき。

 浴衣を脱ぎ落とした腕を首に巻きつけるふりをして 樹さんの肩を思いっきり押して沈めた。 気を許していたせいか 樹さんは あっけなく沈んだ。
 「仕返しです」
 声をたてて笑い合ったあと 髪を濡らしたまま キスを繰り返した。

 旅って 心のドアを 閉め忘れる?

 「お食事のご用意をさせていただいても よろしいですか?」

 仲居さんの声に 樹さんはワザとらしく慌てながら 
 「ちょっと 待ってください」
 大急ぎで バスタオルを腰に巻きつけた後 わたしの旅行用の鞄をとってくれた。
 「そこで 着替えられる?」
 「はい。 多分」

 自分は 身体を拭いた後 浴衣を着ている。 

 髪からは まだ雫が落ちている。

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