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Kiss Again and Again
第12章 旅愁

 樹さんが 向こう側の端に背をむけて浸かっているのを確認してから 身体を沈めた。 白濁したお湯が 心地よく身体にまとわりつく。 温泉って 浸かると なぜかため息が出る。

 「こっちにおいで。 月が見えるよ」
 樹さんと並んで 夜空を仰ぐと 少し欠けた明るい月が出ている。
 「これから 満ちるのかしら? それとも欠けてゆくのかしら?」
 「十三夜くらいだね。 明日 わかるよ」

 明日も こうして 一緒に月を眺めるのかしら。 なんだか 悲しくなるくらい幸せなんだけど。

 髪をクリップで留めているため むき出しになっている首筋に 樹さんが 唇を這わせる。 目を閉じて 熱い唇の感触をあじわう。

 「覚悟してきた?」
 その言葉に 樹さんを見つめると
 「今のは なし。 言わなかった。 聞かなかった」

 そう・・・ 覚悟なんて・・・ してない。

 こんな風に一緒に月を眺めるだけでいい、と 実は思っている。
 ドライブしながらおしゃべりしたり 一緒に食事したり 『さわやか植物園』なんていう看板に 矢印をたよりに小さなビニールハウスを見つけたりする そんな時間を過ごすだけでいいのに。 

 傷つかない時間だけでいい。

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