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Kiss Again and Again
第12章 旅愁
いきなり ガクンと揺れた。
「あっ・・・」
樹さんが お布団を引き寄せたのだ。
「こんなに離して敷かなくても・・・」
不満そうな声。 わたしが離したの。 ちょっと おかしい。
隣のお布団に入ると すぐに手を伸ばして 抱き寄せる。
「一緒にお風呂に入って お揃いの浴衣着て・・・ 寝るとか・・・ このまま寝るとか・・・ 想定外なんだけど」
暗闇で聞く深みのある声は 子守唄のよう。
素肌を撫でてゆく温かい掌を感じるけど それも子供を寝付かせる母の愛撫のよう。
それなのに 突然呼び起こされた快感に 目が醒めた。
「なに・・・してるの?」
「うーーーん なでなで」
何をされているのかわからないけど 気持ちがいい・・・
浴衣が 大きくはだけている。
長くて美しい指が 身体の隅々まで ゆったりと まさぐる。
「もんだり こねたり、が 僕の天職だから」
わっ そんなこと・・・ いう?
唇が 小さな乳房をついばむ。
「寝かせない」
一本の紐を引いただけで 全裸になる。
この美しい指で どれだけの女の人を 悦ばせたの?
その行列の後ろに 並ぶ自分がみえる。
わたしは 特別じゃあない。
特別な女には なれない。