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Kiss Again and Again
第12章 旅愁

 「それから アフリカに行こうと思って」
 「いきなりアフリカですか!?」
 「うん。 以前観た映画で キリマンジェロを見ながら死んでゆく男の話があって」

 あ・・・ ヘミングウェイの・・・

 「山の中腹に 凍った豹の死体があるんだ。 豹だったと思うんだけど。 どうしてそこに豹の死体があるのか その豹が何を求めてそんなところまで行ったのか・・・ そんなこと考えながら 男は死んでゆくんだ」

 汚らしくお酒に溺れるグレゴリー・ペック。

 「自分は その豹かもしれない、と思って」


 この人に惹かれるのは理由が ある。

 「でも いざとなると 万里の長城もいいかな? サグラダ・ファミリアもいいよな? ピラミッドにしようか? とか 全然決まらなくて」
 「それで わかった。 どこかに行きたいわけじゃあなく ここにいたくないだけなんだって」
 「それからは 何日も家に閉じこもり キッチンを占領し そこでできるありとあらゆることをした。 ろくに眠りもせず 食べもせず。 そうしたら ある日 学校から帰ってきたじゅんが キッチンにいる僕に いきなり卵を投げつけたんだよ」
 「じゅん・・・が 卵?」
 「卵がなくなると そこに出ている物を 次から次へと 投げつけるんだよ」
 「・・・・・」
 「”いいかげんにしてっ。 死ぬんだったら よそで死んで” って言われた」
 「卵だらけになって 粉や油にまみれて 目が覚めた」

 「じゅんは 決して泣かない子だけど あの時は きっと泣いていたんだと思う」


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