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Kiss Again and Again
第4章 デート
レストランを出て しばらく他愛もない話をしながら 歩いた。
同じように 二人連れで歩いている人たちが 結構いる。 手をつないだり 腕を取り合ったり 背中に手をまわしたり 今までは気にも留めなかった恋人たちの姿。 あんな風に 身体で親しさを表すことは できない。 まさか そんなことを求められないよね。
わたしのぎこちなさは 伝わったはずだ。
「どこかで ちょっとだけ 飲んで行く?」
いつの間にか9時をまわっていた。
「明日の1限目の予習があるので 今日は・・・」
街は そろそろお酒の匂いがし始めている。 帰ったら 10時過ぎだろう。
「じゃあ 送る」
よかった。 立花先輩は とてもスマートだ。
駅で別れる時も 慣れた感じで あっさりしていて
「また 来週の火曜日にね」
と、手を差し出された時にも 警戒せずに握手できた。 ただ その手を強く握り締め 引き寄せようとした時には 瞬時に身体が強張り 脚を踏みしめてしまった。 そうすると 立花先輩は すぐに手を離した。
「火曜日は 大丈夫だよね?」
返事ができない。
「また 連絡するから」
うつむいたまま 動けずにいるわたしに
「大丈夫? 怖がらせるつもりはなかったんだけど」
優しい声だった。 こんな自分が 恥ずかしかった。
「ごめんなさい・・・また・・・」
それが 精一杯だった。