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Kiss Again and Again
第21章 はじまりは こんな風に
 
 こんなやりとりは 海との新たな関係だ。 わたしたちは 似たもの同士だ。 手に入らないものに焦がれて 消沈して 寄り添っている。
 そして こうしてともに過ごすことに馴れ始めている。 もう 自分を諌めたり 留まるよう引きとめたりすることにも 諦めかけている。 あの時 捨て鉢になったわたしが本来の姿なのだ。 何も惜しむものなんかない。 それほど大切なこともなければ 守らなくてはいけないものもない。 後で後悔したら 考えなおそう。
 海とこうして過ごすのは そんなに悪くない、かも。
 わたしの心の声が聞こえでもしたかのように 海はクッションをつかむと 頭ごと膝に乗っかってきた。
 「病人だから ちょっとだけ わがままさせて」
 「今更 そんなことお断りしなくても 充分わがまま していませんか?」
 「そう見える? ヘンだなぁ・・・ 自粛しているんだよ これでも」
 「足りません。 もっと自粛してください」
 「あゆが 優しすぎるんだよ」

 何度も「優しい」と言い、 何度も「かわいい」と言う。 以前もそうだった。 いつも海は 「好き」を言葉でも伝えてくれた。

 無意識に お腹のあたりにある海の髪の中に指を差し入れ 梳くように撫でた。 海がその手をつかんだ。 びっくりして
 「どうしたの? なにか・・・?」
 「ごめん・・・ あゆがそんなことすると 思い出してしまうんだ。 あのこと・・・」

 なんのことを言っているの?

 「あの日 部屋で ゆるりと過ごしていた・・・ あゆが こんな風に 僕の髪を撫でたりしながら・・・ 幸せたっぷりに・・・ それが・・・」

 あの日?
 あの休日?

 「仲村愛美 いるんでしょう!?」

 あの日のこと?
 そうね。 わたしはあなたの髪を 時折撫でていた。 時間と言う生き物が 見えるような満ち足りた休日。 それが 「かちり」という音で切り裂かれた。
 わたしの中では恐ろしい記憶として刻まれている。
 考えてみたこともなかった。 海の中でも あの出来事が爪痕を残しているなんて。 もしかしてそのせいで 何度も手を掴んで髪に触らせなかったの?

 あなたも 傷ついている?

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