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Kiss Again and Again
第21章 はじまりは こんな風に

「高熱でぐったりしているとき あゆが言ったんだ。 ”放っておいて。 このまま死ぬの”
 放ってなんかおけないだろう? 死なせるわけにはいかないだろう?
 僕が 必要とされているとか 思ってしまうだろう?」

 海は 静かにまどろみ始めた。 お腹がいっぱいになり 安全な場所を見いだした捨てられた子犬のように 眠り始めた。 海の頭の下から抜け出せず わたしもうとうとしはじめた。 

 二年半位前 わたしは この人のことが大好きで大好きで。 この人に値しない女だと卑屈になっていて。 この人のことを失うくらいなら なんだってするつもりでいて。 でも 何もできなくて。

 その後 樹さんに出逢って もう 人を好きになんてなれない、 好きになんかならない、と思っていたのに どうしょうもないくらい好きになって。
 やりきれない想いに いつも追いかけられて。

 純子ちゃんの結婚式で わたしの心は 形がわからなくなるくらいズタズタに切り裂かれていた・・・のに・・・
 海がいてくれなかったら どうなっていたのだろう。
 本当に 死んでいたかもしれない。

 その後 海と過ごした時間が 砂時計を逆さまにした途端 中身が零れ落ちるかのように わたしの心の中で積もってゆく。 細く 軽やかに煌きながら 少しづつ積もってゆく。
 それは 思いもかけず 美しい。

 海との時間は わたしの中に 密やかな疑問の泡粒を生まれさせていた。
 もしかしたら・・・ この人は・・・
 小さな泡粒は 弾けては また生まれた。 時間とともに大きく育って。
 もしかしたら・・・ この人は・・・
 無視できないくらいに 大きなものになっていた。

 もしかして・・・ ほんとうに わたしを愛してくれていた?

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