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Kiss Again and Again
第21章 はじまりは こんな風に

 翌週の金曜日 『これから行きます』のラインが海から届き マンションに帰ると スーツ姿でエントランスで待っていた。 両手には 沢山の食料品が入ったスーパーの袋を持っている。
 「ご飯は 食べた?」
 それが最初に言ったことだった。
 「いいえ まだです」
 「この前のお礼に 僕が何か作ろうかな、と思って」

 美しい男は 美しく笑った。

 その次の金曜日の夜も 『これから行きます』のラインが届いた。 同じようにエントランスに 両手にスーパーの袋を持った海が立っていた。
 「どのくらい待っていたのですか?」
 その姿を見た時に わたしが最初に言った言葉は 決して咎めているものではなかった。 それどころか 待たせたのを申し訳なく思っているように聞こえたかもしれない。
 「それほどでもないよ」
 ネクタイをゆるめたスーツ姿は完璧で 多くの女の心をワシヅカミにするものにもどっていた。
 海から ひとつ袋を奪い取り
 「こんなこと もうしないで」
 「ううん。 これからもやり続ける。 あゆを落とせるまで」
 エレベーターに乗り込みながら
 「胃袋をつかむ?」
 「胃袋とハートをつかむ」

 樹さんも 「あゆちゃんを餌付けする」と、言っていたっけ。 最近の男は 女子力で勝負してくるの?

 次の金曜日は 『今日は行けそうにないから 明日の朝 行ってもいい?』とラインがきた。 
 『ダメ、って言ったら?』
 『それでも 行くかな』

 休日を海と過ごすことに慣れてゆき 部屋には海のものが増えていった。 それらの細々としたものに 樹さんの思い出が埋もれて 姿を消してしまうのを期待した。
 ひとつベッドで 当たり前のようにともに眠り ともに目覚めた。 
 セックスはしなかった。
 海は キス以上は求めなかった。 そして キスされることに慣れていった。
 不思議な穏やかさが続き それはとても心地よかった。 海への”好き”が ゆっくりと熟成していくかのようで心地よかった。

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