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Kiss Again and Again
第5章 はじまりのはじまり
帰りは ちゃんと起きていたので 雨の海岸線を楽しんだ。
「雨だから 僕んち 来る?」
頷く。 他に どうすればいい?
マンションの駐車場からエントランスまで 雨の中を走った。 エントランスで 雨に濡れたお互いを見つめ合いながら笑った。 前髪から落ちる顔の雨雫を 先輩が服の袖で拭ってくれた。 先輩の袖も濡れているのに。
しあわせ・・・かも・・・
先輩の部屋は なんだか物がいっぱいある。 基調はモノトーンで 広々としているのに 狭く感じられる。 物が沢山あるせいで 散らかっているのか 片付いているのか よくわからない。 気取るのに疲れたような部屋だった。
「どこでもいいから 座って」
渡されたタオルで ぽんぽんと顔や髪を拭く。
「さっき コーヒー飲んだばかりだけど コーヒーでいい?」
「いえ。 おかまいなく」
「いや。 しっかりかまわせて。 初めて あゆが来てくれたんだから」
大きめのソファの端に座った。 こんな大きなソファを置けるなんて このリビングは 思うより広いのだろうな。 先輩 車持ってるし。
「先輩は もしかして ええとこのぼんぼんですか?」
「なに? それ?」
あっ・・・ これは 高梨さんの言い方だった。
「どこかの ご子息様ですか?」
「庶民です。 残念?」
「わたし 先輩のこと 全然知らない、ですよね」
可愛いマグカップに入った薫り高いコーヒーが テーブルに置かれた。 誰の好みのマグカップ?
「やっと 僕に興味をもってくれた?」