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明日奈
第1章 セーラー服上着とスカートを履いて完成した。

「ううん。違うよ。二人には感謝してる、それにこの場所が嫌なわけじゃない。ただ、ここにいるよりもっと楽しいことが見つけられるんじゃないかなって思ってるだけなんだ、例えば――恋愛とか。だからここにいて誰かと付き合うよりも、広い世界を見たいの。それで見つけたいな、好きな人と一緒に幸せになりたい。お姉さまの気持ちもよくわかるよ、でもお嫁に行ったからって必ず不幸とは限らないんだよ、だってこんな私を大事にしてくれる人もいるんだから。お兄様みたいに強い人だけじゃないから、みんないろんなことを我慢したり頑張ってるんだよ。だから……」とそこで言葉を切る すると母親が両手で顔を押さえながら「お別れだなんて……ひどいわ明日奈……」と嗚咽を漏らし始めた 父親の方はまだ無言である。しかし何かを思案するように顎に手をあてると、ゆっくりと顔を上げた。そしてその顔にいつもの穏やかな微笑をたたえながら明日奈の方に向き直った そして静かな声で言った「理由を聞かせてくれないか?」
その問いに明日奈は再び口を開いた
――きっかけは何だっただろう、覚えているのは学校の友人と行ったカラオケの光景、楽しかったこと。それはいつまでたっても終わらなくて永遠に歌える気がしたけど、そのうち限界が訪れて明日奈だけが歌い続け周りの皆はすでにへとへとになっていた。それから数日後のことだった 学校の友達と遊びにいったときたまたま街で見たことのある男の人を見かけた。確か以前家族で出かけたデパートで働いている人だった、そして彼は店員の女性と手をつないで仲睦まじそうに歩いていた そのとき感じたのは嫉妬、それと怒りだった、それは自分に向けられたもの。明日奈はこの感情の名前に思い当たるところがあった、これは『好き』ということだ、だけど同時にその人に恋人がいるのだということを理解してしまった。だからといってこの想いは消えない、むしろ膨れ上がるばかりだ。ならばそれを昇華させる手段を考えるべきだろうと 結論を出す。明日奈はその時思った
――あたしはあの人を諦めるのをやめた。いつかあの人を自分のものにすると決めたの
「あのね!あの人はとても強い人で、とても格好良くて……そしてとっても可愛いところもあるんだ。きっと素敵な奥さんをもらって幸せな人生を送るに違いないよ。だから、そんな彼をお手伝いするの、支えてあげるの、もちろんその人も、お相手の人も」
その問いに明日奈は再び口を開いた
――きっかけは何だっただろう、覚えているのは学校の友人と行ったカラオケの光景、楽しかったこと。それはいつまでたっても終わらなくて永遠に歌える気がしたけど、そのうち限界が訪れて明日奈だけが歌い続け周りの皆はすでにへとへとになっていた。それから数日後のことだった 学校の友達と遊びにいったときたまたま街で見たことのある男の人を見かけた。確か以前家族で出かけたデパートで働いている人だった、そして彼は店員の女性と手をつないで仲睦まじそうに歩いていた そのとき感じたのは嫉妬、それと怒りだった、それは自分に向けられたもの。明日奈はこの感情の名前に思い当たるところがあった、これは『好き』ということだ、だけど同時にその人に恋人がいるのだということを理解してしまった。だからといってこの想いは消えない、むしろ膨れ上がるばかりだ。ならばそれを昇華させる手段を考えるべきだろうと 結論を出す。明日奈はその時思った
――あたしはあの人を諦めるのをやめた。いつかあの人を自分のものにすると決めたの
「あのね!あの人はとても強い人で、とても格好良くて……そしてとっても可愛いところもあるんだ。きっと素敵な奥さんをもらって幸せな人生を送るに違いないよ。だから、そんな彼をお手伝いするの、支えてあげるの、もちろんその人も、お相手の人も」

