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天使のいたずら―ママとマキちゃんの●●な体験―
第20章 命令
小気味良い靴音が、マンションのホールに響いていきます。

エレベーターのボタンを押した後、口笛を吹きながら待っています。

文雄おじさんは上機嫌でした。

「へっ・・・・何が、忘れて下さい、だ・・・・・。」

開いたドアを、もどかしそうにくぐりました。

「もう、お前は俺のもの、なんだよ・・・・。」

通過する度に点滅する窓の光を、眩しそうに目を細め、呟いています。

(どう・・・して・・・?)

美香ママがリビングのソファに座り、不安気に玄関のドアを見ています。

縦じまが入った黒のパンタロンの裾を、しきりに気にしています。

少しでも隙が見えないような服装にしたつもりでした。

しかしシックな装いは、返ってママの魅力を引きたたせてしまいます。

同じ布地の上着は胸元をシャープにえぐるデザイン・スーツで、パール色に光るシルクのブラウスの膨らみを妖しく強調するのでした。

義兄の声がまだ耳に残っています。

『もう、戻れないんだよ・・・美香さん・・・。』

それは、まるで死刑の宣告のように感じました。

『あんたもタップリ楽しんだじゃないか。』

『そ、そんな・・・・。』

ママは否定する事も出来ず、困惑するばかりです。

でも、何としても断ろうと必死でした。

これ以上、愛する夫を裏切るわけにはいきません。

昨日の自分は何か変だったのです。

『お、お願いです・・・・忘れて下さい、お義兄さん・・・。』

何度も繰り返す言葉に苛立った文雄おじさんは、大声を出しました。

『ふざけるなぁっ・・・。』

(ああっ・・・・。)

それは。深い衝撃でママの心に走りました。

『お前はもう、俺の女なんだよ・・・・俺なしじゃあ、生きられないんだ・・・・。』

(あああ・・・・・・ああ・・・・。)

何故でしょうか。

不条理なセリフなのに、妙に心にしみこんでくるのです。
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