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天使のいたずら―ママとマキちゃんの●●な体験―
第23章 殺意
「ああ・・・・ど、どうしよう・・・・。」

ママの肩先で、天使のベルがうろたえています。

パパの憎悪のパワーは想像以上に強く、ベルの魔法でも消せないのでした。

「美香っ・・・お前は・・・お前は・・・。」
ママの声に振り返ったパパの目から、大粒の涙が流れていきます。

「殺してやるぅっ・・・・。」

パパが持った包丁の鋭い刃が、一直線にママの胸元に伸びていきました。

「ダ、ダメェ・・・・。」

ベルは両手で目ふさぎました。

ママが殺される。

そうしたらマキちゃんは、どんなに嘆くでしょうか。

折角、みんなを気持ちよくしてあげたのに。

どうしてパパは怒っているのでしょうか。

ベルは自分の無力さを呪い、祈るのでした。

(助けてぇ、神様ぁ・・・・・。)

時間が凍りつくような寒々とした思いに、ベルの心は覆われました。

何秒かたったのに、何も聞こえません。

恐る恐る目を開けたベルは異様な光景に驚きました。

「あ、あれぇ・・・?」

パパが包丁を持ったまま、動かないのでいます。

よく見るとママも文雄おじさんも、まるで人形のように固まっていました。

「ど、どうしたんだろう?」

不思議そうに首をかしげるベルに、懐かしい声が聞こえたのです。

「ベルや・・・・。」

振り返ったベルは、嬉しそうにその名を呼びました。

「あっ・・・・神様ぁ・・・。」
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