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第4章 逃亡犯

「確かに、俺たちは指名手配中の犯人さ・・・・。」

茶髪の男は嬉しそうに喋っている。

まるで芝居をしているかの如く。

興奮しているのか、目が充血している。

「わざわざ気づかないように、居留守を使ってやったのになぁ・・・・。」

絨毯に座らされた響子達四人の一人一人を、舐めるように睨んでいく。

「い、いやぁ・・・・・。」

美紀が今にも泣き出しそうに、か細い声を出した。

「せ、せんせいぃ・・・・。」

ひかるも舞も恐怖で震えながら、響子に寄り添っていた。

「全く・・・・でも、いい女ばかりだぜ・・・・。」

ロンゲのアゴヒゲも、芝居じみた声を出す。

「本当・・・・この子なんか俺の好みだ・・・。」

もう一人、短い髪を銀色に染めた男が囲むように立っている。

玄関のドアを外から押えていた奴である。

ひかるの顔を覗き込みながら、ニヤついた笑みを浮かべている。

「お、お願いです・・・・帰して下さいっ・・・。」

懸命に訴える響子の声は、空しく響くだけだった。

（バ、バカなわたし・・・・どうして・・・？）

もっと早く気づかなかったのだろう。

今朝のニュースでも、大々的にテレビに映っていたではないか。

『オレオレ詐欺で指名手配中の三人は、現在九州方面を逃亡中で・・・・。』

髪の色を染めて写真とは幾分印象が違っていたせいもあるだろうが、まさか日本海側である北陸に来ているとは思いもしなかった。

ましてこれ程豪華な別荘の住人である先入観が響子から、警戒心を無くしていたのだ。

ひかるが叫んだ時、直ぐに気づいたのだが後の祭りだった。

気づかれないよう居留守を装っていた男達は、念のため各部署に分かれ様子を伺っていた。

案の定、正体がバレタと悟った男は大きく叫んで、手はず通り玄関のドアを外から押さえさせたのだ。