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ディックガールちゃんとカントボーイくん
第1章 僕はカントボーイ
僕は男だ………戸籍上は。
男を好きになるわけでもなく初恋は一つ年上の女の先輩だったし、中3になっても胸は出てこない。
声変わりは始まったし、足も速いし、身長は既に168cmもある。

僕のことをよく知らない人からすれば、僕はただの男だ。

けれど、僕は自分のことを「男だ」と胸を張って名乗ることができない。
……何故なら。

「男性器を持っていないから。」

俗に言うカントボーイ。
世界人口の6パーセントしかいない人種。

僕の両親はふたなり同士の女カップルで、僕も立派な竿がついて産まれてくるものと期待されていたのに。


戸籍上「男」であるカントボーイは、学校の更衣室やトイレも男性のものを使用する。
この決まりは、一部の男子の悪行を裏で後押しする形となった。

呼び出され、「下着を脱げ、見せろ」と脅される。
見せなければ良くて暴力、下手をすると「襲われた」などとチクられかねない。
言うことを聞くしかない。

小学校までは良かった。
ただ仲間外れにされたり、覗き見される程度で済んでいた。
しかし、中学に入ると男子生徒の性欲は高まり、そのはけ口は僕だった。

二回、子供を下ろした。
母には「誰にも言わないで」と懇願した。
訴えれば良いのだろうけれど、誰にも知られたくなかったから。

毎日自慰行為の慰み者にされ、気分次第で月に何度か“挿れられ”たり、自慰を強制させられ見世物にされたりする。
時々変態がバイブを持ってきて、“挿れたまま”授業を受けさせられたり、酷いときには“挿れるべきでないもの”も入ってくる。

昔は痛いだけだった。
なのに、気持ちいいと思ってしまう身体になってしまった。

僕の下半身には、僕じゃない「雌」がいる。
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