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女たちは生きる
第10章 爽
 夏川絵美は同期の中でもよく話す方だが、さすがにお互いの恋バナまで話す仲ではない。
そりゃそうでしょ、三十路に手が届こうとしている女はそう簡単に胸の内は暴露しないのだ。
プライドもあるし……

 ある日、絵美と昼休みが一緒になり、
ふたりで社食に向かうエレベーターの中
「最近さ、バイトの矢島くんに絡まれていて困ってるんだよ。」
絵美は溜息交じりに呟いた。

「ああ見てても判るよ。良いじゃないよ、話す分には結構イケメンだし性格だって良いよ。」
「ふっ~他人事だと思って。私いるんだよね…… 付き合っている奴がさ。」
爽は思いがけない絵美の言葉に
思わず絶句していると

「何驚く事?いて可笑しくない年です!三十路ですよ~わたしたち!。」
「三十路ねぇまだです!とは言えないよね~クゥ~ それで同じ会社の人?」
絵美はケラケラ笑いながら
「秘密~秘密~フフフ教えない~ 
さて、何食べようかなぁ。」
券売機の前で迷っている絵美の背中を見つめながら、ふと矢島の顔を想い浮かべた。

 ショックだよなぁ。こりゃ泣くかな~
泣く事は無いかもだけど、落ちこむわなぁ。
またまた相談乗るとこになるのか。

嫌なんだよねぇ。 
だって、あいつの辛そうな顔見ると、こっちが悲しくなるもん。







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