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朱になる
第1章 運命の出会い

 夫のところから帰宅するときは 戻る家のひと気のなさを寂しく思う。
 夫は 帰り際には
 「臨時教員なんて 辞めてしまえばいいのに」
と必ず言う。それは遠距離で過ごすからであって 本心ではないだろう。
 朱音も 臨時教員を辞めるのは 妊娠したときだと決めていた。それまでは できるだけ社会に抵触していたかった。わずかばかりの収入だったが 堅実な未来に向かってゆくのには 必要だった。

 夫によって満たされたはずの身体が 彼を見つけた途端 熱くなる。

 別に 隣に座ろうと思ったわけではなかった。他に女性の隣で空いている席はあるのだ。ただ 惹きつけられた。
 眠りかけているのか 閉じた瞼がうっすら紅い。美しい鼻梁だ。多分 朱音よりふたつくらい年下だろう。見とれていたら 彼が目を開き 立っている朱音に気がついた。

 席を空けられて 座ってしまったが 居心地が悪い。二泊分の荷物が入ったボストンバッグを膝にのせ できるだけ間を空けた。
 男から かすかなアルコールの匂いがする。それだけで 酔ってしまいそうだった。
 あまりの偶然に 改めて驚いた。家が近いのだろうか。そう思っただけで どきどきする。

 「次で降ります」と言われて 夢から醒めたように驚き 飛び上がった。

 また あそこがくちゅ、といった。

 隣に座っただけで 濡れている。恥ずかしくて バッグを抱きしめ 顔をあげることができない。彼にわかるはずもないのに。

 彼が降りたバス停は 朱音の住まいからほどよく離れていた。
 もう 会うことはないはずだ。いや・・・意外な再会もあるかもしれない。こんな偶然があったのだから。 

 ふたりとも そう思っていた。

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