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朱になる
第1章 運命の出会い
パスタは とても美味しかった。
サラダも 「このレタスは あの指がちぎったのだ」と思うと 特別なご馳走に感じられた。
「やっぱり 人に作ってもらう料理は 美味しいなぁ」
「あら。ほとんど慎二さんが作ったでしょう?」
慎二さん、朱音さん、と呼び合うくらいになれたのだから そろそろいいかな、と思い
「実は 初めてお会いしたのではないのですよ」
朱音が 驚かないことに 驚いた。
「気がついていたの?」
「はい」
「いつ?」
「バスの中で」
「隣に座ったとき?」
「あれは わざとではなかったのだけど・・・隣に座りました」
慎二は まじまじと 朱音を見つめた。あまりにも長く見つめられるので 朱音は 顔を赤らめた。
「ほんとうに わざと 隣に座ったわけではないのです」
気がつくと 慎二は 朱音のくちびるを吸っていた。
いったん離れて 朱音の顔をうかがう。目が とろんと潤っている。もう一度 くちびるを吸う。舌を入れると 朱音が 応えてきた。絡ませあい これでもか、と言うくらい吸いあった。
離れたときには ふたりとも 息がはずんでいた。
「ぼくのこと 憶えていたんだね」
朱音が 頷く。
「それで ついてきたんだね」
また 頷く。