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朱になる
第1章 運命の出会い
まず脚に巻かれたダクトテープから 乱暴にはがす。「んんん」と くぐもった声が聞こえる。痛いのだ。赤くなっている。
少し前まで 他の女と狂乱していたベッドまで 引きずるように連れて行き 両手首に巻かれていたダクトテープも乱暴にはがす。
最後に 涙と鼻水にまみれた口のダクトテープをはがした。
「きったない顔だなぁ。ふけよ」
先ほどまで諒子との話し方、声音とはまったく違う。投げられたティッシュをうまくつまむことができない。長時間拘束されていたために ちゃんと力が入らないのだ。慎二が邪険に拭いてやる。
「咽喉がかわいて・・・」
渡されたペットボトルを持つことさえできない。慎二が開けて 飲ませてやる。咳き込んでいたが 一息ついたようで ほっと息をはきだした。平凡な顔が 朱をおびて 妖艶になりつつある。欲情しはじめると はっきりと変わってくる。
慎二は クローゼットまで行き 敷かれたバスタオルを持ち上げ わざとらしく
「濡れているじゃないか。もらしたのか?」
「ちがいます!」
大げさに匂いをかいでみせて 「ふん」と葵の鼻先に差出し 「かいでみろ」という。
「なんの匂いか いってみろよ」
「わたしの・・・あの・・・においです」
「あの匂い、って なんの匂いなんだ?」
「あの・・・愛液のにおい・・・です」
恥じらいで いよいよ頬が染まってくる。
それは慎二の大好きな 朱音のあまずっぱいにおいだった。それだけで 慎二の男根は固くなってくる。
「なんで こんなに濡れているんだ? おまえは おれたちのセックスを盗み見して 欲情していたのか?」
「ごめんなさい」
うつむいて 消え入りそうな声でいう。
「いやらしいやつだなぁ。人のセックスを盗み見して 感じまくっていたのか?」
「ちがいます・・・」
違うものか。そのために 閉じ込めていたのだから。慎二たちのセックスは 拘束され 閉じ込められている朱音を どれほど惨めにしたことだろう。そして どんなに欲情させたことだろう。