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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第14章 露出
僕は微笑んで、彼女のグラスにまたワインを注いで、自分にも注いだ。
今日は、まだ、たっぷり時間はあるよ・・・。
彼女はにっこり微笑んで、自分のトートバッグを引き寄せると、そのお弁当箱を開いた。
スパークリングワインだったら、ちょうどこれがいいと思うんです。
彼女の開いた弁当の匂いに、僕はドキッとする。
それは、色とりどりに詰められて、本当に美味しそうだった。
唐揚げ、玉子焼き、アスパラを肉に巻いたもの、パプリカとサーモンのマリネ、カプレーゼ。そして、小さめのおにぎり。
小学校の運動会の時、母のいない僕には、近所の子達が持ってきていた弁当から匂う、こんな美味しそうな香りに、羨ましさと寂しさを抱えていた。
そんな僕を彼女が知っているのではないかとさえ思い、母への思慕と彼女への恋情が重なる。
彼女は綺麗な色の紙皿を出し、お手拭きで手を拭いてから、その弁当箱から、マリネとカプレーゼを綺麗に取り分け、置いてくれた。
こんなに・・・朝早くから準備してくれたんだね。
なんだか、ワクワクして・・・朝早く目が覚めたので。
彼女が僕のことを考えて作ってくれたのだと思うと、嬉しさが込み上げる。
唐揚げも美味しそうだね。
そう言うと、彼女は唐揚げも、盛り付けてくれる。
私ね、一番、食べ物の中で唐揚げが一番好きなの。
少し恥ずかしそうに言う彼女が可愛くて、僕はその頬にキスをして、手を伸ばして唐揚げを摘んだ。
美味しいね。
彼女が嬉しそうに微笑む。
空は、白い曇天で、誰も来ない静かな森の中。