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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第4章 バーのカウンターの下で
いらっしゃいませ。
バーテンダーが声をかける。
バーカウンターにいるのは、さっき見た女だった。
彼女はバーの左端に座っていて、ゆっくり僕を振り返る。
バーの椅子にでっぷりと乗った臀部・・・。
ワンピースから出ている腕もむっちりと白い。
振り返った目は、切長で、少し目尻が下がっていて、低めの鼻と厚めの唇が、若い印象を持たせる。
でも、目元の皺と、口元のほうれい線が、年相応の熟れた女の色香を漂わせている。
体を捻った腹はたっぷりとしていて、そこから上に、張り出した乳房の形がわかる。
(ああ、彼女だ・・・)
彼女と目が合う。
僕を、少し、怯えたように見ている顔も可愛らしく、そのいやらしい体つきと、僕を見つめる少女のような瞳のアンバランスさが、僕の胸を高鳴らせ、思わず微笑んでしまう。
気持ちが抑えきれず、彼女の隣に座りながら言う。
早かったですね。
カウンターの、彼女と僕の間に、ムラカミハルキの本を置いて。
どうして、私ってわかったんですか・・・?
彼女が聞く。僕はバーテンダーが奥にいるのをチラッと確認して、口元を近づけて囁いた。
むっつりそうな、女性、、、だからかな?
その時、彼女のつけている香水が香った。
バニラの香り・・・。母を思い出させる香りは、目の前に母のあの写真を思い起こさせ、その妄想は彼女に置き換わる。
(ああ・・・こんな人に出会えるとは・・・。それなのに、僕は、舞い上がってなんて不躾な言葉を返したのか。)
彼女が引いてないか不安になり彼女の瞳を見ると、その瞳はきらきらと僕を見つめ、口元は嬉しそうにすら見えた。そして、恥ずかしそうに俯く。
心臓を何かに掴まれたように、鼓動が高鳴る。もう、僕は完全に彼女に恋をしている・・・。
バーテンダーがおしぼりをくれて、僕は掠れる声でバーボンをロックで頼む。
手を拭きながら、自分の手が震えているのを感じる。
落ち着かない時の癖で、メガネの位置を直しながら、今の気持ちを正直に彼女に告げる。
ごめん、そんなこと言いながら、本当は、緊張、してる。こんなこと、初めてで。