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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第29章 嵐
それでもなお、クミは激昂したまま、そのキャリーケースの横に置かれていたカメラバッグをとった。
僕は思わず叫ぶ。
やめてくれ!
彼女は、その目を光らせ、そのカメラを壁に投げつけようとした。
僕は思わずそのカメラを庇うように身を乗り出し、割れたガラスの中に手を伸ばした。
ガラスが僕を切る感触がある。
でも、カメラは受け止めた・・・。鈴音の、あの、美しい姿が収められたカメラ・・・。
僕の左手から、暖かい血が流れ落ちていくのを感じる、、、。傷の痛みはとても強いけれど、鈴音の姿を守った安堵の方が強かった。
馬鹿じゃないの!なんでそんなカメラだけ大切にするのよ!
そして、サイドテーブルから、置き時計をとって、僕に向かって振り下ろそうとした。
その時、玄関から、人が入ってくる音がした。
〇〇交番です!通報があったので入りますよ!
制服を着た警官が二人入ってきて、怒りで息を荒くしているクミと、腕から血を流している僕をみて、状況を理解したようだ。
一人の警官は僕に駆け寄り、腕を止血しながら、救急車を呼んだ。
もう一人の警官が、時計を持ったクミの腕を素早く抑える。
やめてよ!私はこの人の妻よ!
暴れるクミを素早く抑えて、警官は彼女を連れて出て行った。