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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第30章 嵐の後
僕は、電話を切り、ひとまず割れたガラスを片付ける。それだけでも小一時間かかった。
その間、僕はクミとの離婚について考えていた。
今回のことを理由に弁護士に相談に行こうと決め、鈴音を必ず守ると、そのために一緒に暮らせないだろうか、と考える。
僕はダイニングを片付け始める。
醤油やソースが壁一面に飛び散っている。
鈴音が来るまでに、なんとか綺麗にしたいと、痛む傷を堪えながら、落ちたものや割れたガラスを片付け、壁や床を拭いて行く。
しばらく夢中で片付けていると、チャイムがなる。
僕は玄関に急ぎ、ドアを開けると、彼女が立っていた。
フワッとした白のオーバーブラウスに、黒のパンツ姿。髪は高めの位置で後ろに結んである。
心配もそうに、僕の左腕を見ながら、でも、いつものようにきちんと挨拶をする彼女。
こんにちは。
ああ、こんにちは。
僕は、1日ぶりなのにたまらなくなり、彼女をグッと玄関に抱き入れると、ドアを閉めてすぐに彼女を抱きしめる。
そのバニラの香りで、昨日の嵐のような夜が遠く感じ、僕の心が解けてゆく・・・。
ああ、鈴音・・・会いたかった・・・君だけだ・・・僕がずっと一緒にいたいのは、君だけ・・・・
嬉しい・・・
あっ、つっ・・・
僕は、あまりにも彼女を強く抱きしめ、左手の傷の痛みに顔を顰めた。彼女が心配そうに僕を見上げる。
大丈夫?
ああ、縫ったからね。朝の痛み止めが切れてきたかな・・・。
お薬飲まなきゃですね。でも、その前に、ご飯食べましょう?
彼女が持ってきた荷物を見せてくれる。
そこには、お弁当が入っていた。