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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第11章 彼女の身体

 職場の高校までは車で15分だった。父の残してくれたこの家は市内の中央にありながら、庭もあり、静かな住宅だ。


 家は古くはあるけれど、南側の庭に面した広縁も、そこに続く畳の居間も、板間の台所も、玄関脇の洋室仕様の客間も、とても落ち着く家だ。
 そして何より、北西に面した、書斎。隠微な書籍に埋め尽くされていながら、僕にとっては両親の思い出ともつながる大切な場所。



 書斎のことを思うと、いつも母の写真を思い出す。
 今はもう手元にないあの写真は、おそらく父が自分の死期を知って処分したのだろう。


 でも、僕は、それまでに幾度もあのアルバムを見て、その写真をありありと思い出せるまでになっていた。
 ただ、この1週間は、その写真の面影は、いつのまにか彼女の面影に変わっていることが多かった。

 明日・・・僕は明日のことを思い、少し息苦しくて、ハンドルを強く握る。


緊張、してるのか、僕は・・・。



 明日、彼女に会えたら、僕は、父が母にしたように、彼女を縛ってみたいと思っていた。



 誰かを縛ってみたいということは、あの写真を見た少年の頃から、思ってはきたことだったが、それは誰でもいいわけではなかった。
 僕は、父の文献でも、拘束や苛虐について読みもしていたし、何よりあの、縛られて幸せそうな淫靡な母の姿からもわかっていた。
 そういった行為は、愛がなければ気持ちよくはないのだと、通じ合った二人だからこそ、嬲りあい、苛めあっても、快楽と至悦に結びつく行為なんだと。



やっと、そんな相手に出会えたんだ・・・。
明日、彼女は受け入れてくれるだろうか・・・。

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