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マッスルとマシュマロ
第10章 夫の秘密


 華は、その夫の優しい目と、低い声に、嬉しさが込み上げ、本当にこの人を好きだな、と思う。


 でも、その一方で、あの日見た、モデルのような女性を思い出している。



「後で一緒にいただこう?」


 夫に優しく言われ、華は頷く。



「お茶、入れますね。」


 華が身を翻してキッチンに戻る時、正弘は、嗅いだ覚えのあるローションの香りが鼻腔に入り、一瞬、自分から匂っているのかとたじろぐ。

 気のせいか、と思った時、華がお茶をダイニングテーブルに置くのに自分に近づいた時、またその香りを嗅いで、驚いていた。



華が、あのローションを?



困惑したまま、正弘はお茶を飲み、席をたつ。



「着替えてくるよ。」



 2階にある寝室に上がり、ネクタイを外しながら、なぜあのローションの匂いが華からするのかを思いながら、その香りに引き込まれるように正弘は自分のことを考えていた。




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