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マッスルとマシュマロ
第10章 夫の秘密


 しかし、中学3年の夏頃、正弘の身体は成長して、背がぐんと伸び、声変わりも始まった。それほど濃い方ではないが、髭や陰毛が正弘の身体に生え始めると、竜馬はあっさりと正弘を捨てた。



 正弘はどうしていいかわからないまま、自分の男になっていく身体を持て余し、初恋を奪われた心の空虚さに呆然とするしかなかった。

 竜馬はあっけらかんと、有名医学部に合格し、卒業して、可愛い彼女を作ったと聞いた。



 そして、正弘は、尻穴で行き果てる快感を忘れられないまま、生きてきた。



 そんな時に使うローションの香りがなぜ、華からするのだろう?
 同じような香りのハンドクリームでもあるのかもしれない・・・。



 そんなことを考えている思いの中に、嫉妬はなかった。



 華のことは、ある意味、愛している。


 最初に会った時から、正弘に真っ直ぐに好意を寄せ、頭を撫でるだけでとても嬉しそうな顔を見せる。


 しかし、それは、父性や、華には申し訳ないが、ペットを可愛がるような気持ちと同じだった。



 華は、正弘にとっては、従順な、可愛い、大きな白い犬のような存在だ。

 そばにいてほしいし、可愛いと思えば撫でてあげたい。



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