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マッスルとマシュマロ
第14章 電車
華は、恥ずかしさと悔しさで、胸の奥が苦しいように、締め付けられた。
あんな、酷い触り方をした上に、酷い言葉まで言って去っていくなんて・・・。
電車がまた多くの人並みを飲み込んでいく。華はもう、電車に乗る気になれず、ぼんやりとそのドアが閉まるのを見ていた。
そして、ふと気がつくと、そばに宏樹が立っていた。
その顔は心配そうに自分を見ている。
華は、さっきのひどい仕打ちに、目を潤ませていて、宏樹はその顔を見ると、かわいそうになったのだ。
他の男に痴漢されて、また、あの欲情を見せたのかと、後ろで見ていたが、今の華の顔を見て、後悔に駆られていた。
気がついて、すぐに止めてやればよかった・・・。
華は、さっきまでの混乱した気持ちの中で宏樹を目の前にして、少しぼんやりしてしまう。
「林田先生・・・どうして?」
「あ、同じ電車で・・・平井さんが具合悪そうで、ここで降りられたので・・・」
よかった・・・あんなところ、見られてないんだわ・・・。