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マッスルとマシュマロ
第15章 陽の光の中で


「先生はおいくつなんですか?」


「もう30になります。」


「うちは夫が15も上ですから、お父様と同じくらいかもしれませんね。」


「うちは、父はいないので。」




 その返事の声が、少し冷たい気がして、華は宏樹を見る。

 キリッとした眉と、高い鼻梁。黒目がちの目を引き立てる、長いまつ毛。身体はしっかりとした筋肉に包まれていて、紳士的な物腰。



こんな素敵な人と、こんな気持ちのいい公園を歩いている・・・。


 高鳴りそうな気持ちの中で、夫にとっては息子でもおかしくない年齢の男性なのだ、と、華は自分に言い聞かせるように思い、話を続ける。



「私は40になります。5年前から、お仕事はさせてもらってますけど、それまでは家のことばかりで・・・。やっと最近、子育ても楽になってきましたし、自分の時間が持てそうなの。」


「自分の時間で、やりたいことはあるんですか?」


「そうね・・・。特には今まで考えてもいなかったけれど・・・また、絵でも始めてみようかしら?」



 そんな他愛もない話が、華には嬉しく、楽しかった。

 気がつくと、公園の反対側の出口まで来ていた。



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