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マッスルとマシュマロ
第16章 熱
「先生、喉が痛いんじゃありません?」
急に言い当てられて、宏樹は少しだけ頷く。
華は、更衣室を出て、受付のそばにあるドリンク用の冷蔵庫から、会員は無料のスポーツドリンクを取り出して、また宏樹のところに戻る。
宏樹は、もう、ぼんやりとした顔でソファに座っていた。
華は、宏樹にスポーツドリンクを渡しながら、言う。
「飲んでください。」
扁桃腺が痛いと、嚥下の痛みが怖くて、水分をとるのがどうしても遅れるのだ。ただでさえ熱が上がっていく中で、脱水症状まで併発すると、更に高熱になり、息子が小さな時、2度ほど救急車を呼んで、医師から怒られた。
ウォーキングの時から、先生はあんまり飲んでなかったわ・・・。
宏樹は、急にキビキビと動き始めた華に呆気に取られつつ、スポーツドリンクを飲む。
冷たいスポーツドリンクは、少しは喉の痛みを感じさせなくはあるが、それでも少しずつしか入らない。
しまったな・・・普段ならちゃんと水分を取るのに・・・今日に限って・・・
朝飲んだ解熱剤がきれてきたのが、頭痛もひどくなってきた。
宏樹は素直に、少しずつ、スポーツドリンクを飲んでいく。その間に華は、宏樹の荷物を取ってきた。
タンクトップ姿の肩には、自分が持ってきていた大判のバスタオルをかける。