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マッスルとマシュマロ
第23章 初恋の人


「ホントに、変らない・・・」



 竜馬は言うと、不意に正弘の手を、握った。




 それも、指と指を絡めて・・・。



 40年も経ったのに、正弘の身体は、その手に胸を高まらせる。



「お前の名前を書類で見たときは、びっくりしたよ・・・。
その後、ネットとかで、いろいろ検索までしてしまった・・・。」




 竜馬が自分を調べることまでしてくれた・・・。正弘は、そのことに胸が高まるのを不思議だと思った。



もう、40年も前で・・・自分の中では、捨てられた、とまで思っていたのに・・・。



「すごいな、お前は。会社をここまで大きくして。」


「そんな、伊沢様の法人に比べたら・・・」



 その時、竜馬が正弘の手をぐっと握った。

 正弘は、まるであの少年の頃のように、何も言えず、ただ身を固くする。



「頼む・・・お前くらいは、その名前で呼ぶなよ・・・」



 あまりに辛そうな声に、思わず呼びかけた。


「高山先輩・・・」




 すると、竜馬は少し微笑んで、正弘の方にぐっと身を寄せ、耳元に囁く。



「そっちじゃないよ・・・」



 あの頃、正弘が竜馬に身も心も預けていた頃。校内では高山先輩、と、そしてベッドの中では、甘く、竜馬さん、と、呼んでいたものだ・・・。




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