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マッスルとマシュマロ
第26章 違う日常


 正弘が階段を上がる姿を見ながら、華は自分の中で、正弘の不在中の不安を打ち消す。



やっぱり、きっと、ちゃんとお仕事だったんだわ。



 その自信は、正弘の不在の昨日、パソコンのあのフォルダの中身を全て見たことも理由の一つだった。



 几帳面な正弘は、宏樹の母とのやりとりのメールも保存していた。




 そのメールは、正弘から、丁寧に宏樹の母に、自分の息子なら認知などの必要はないのか、と問うていた。




 それに、宏樹の母も、事務的に、自分達には恋愛感情もなく、ほんの数回、肉体関係があって、思いもよらぬ妊娠をしただけなのだから、と書いてあった。



 そのうえ、自分はあなたの優秀な遺伝子がもらえただけで充分であり、むしろ父親としては名乗ったり権利を主張しないで欲しい、とまで書いてあった。

 そして、正弘からは、それを承知して、それを記した覚書を弁護士を通じて送る、と返信していた。



 二人のやりとりはそこで終わっていた。


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