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マッスルとマシュマロ
第28章 初めての口づけ


 そのとき、エレベーターが開き、華が降りてくる。


 宏樹は慌てるようにガラス張りのジムのドアを開け、華を待つ。


 華は、濃紺のフレアスカートのワンピースで、それが肌の白さをより際立たせている。


 ドアを開けた宏樹のそばを通る時に、少し微笑んで「ありがとう・・・」と小さく言った。


 その身体からは石鹸の香りがして、また何かが宏樹の胸を締め付ける。



 華は、ドアを閉める宏樹の方を振り返り、宏樹をじっと見つめた。



ああ・・・この大きな黒目も・・・前頭の張り出した感じも・・・少し立っている耳も・・・。




 華は、夫と宏樹の似た部分を探し、その似た部分を心から愛おしいと思っていた。



 そうして見つめられる宏樹は、実は今日は、華から、目も合わせてもらえないのではないかと思っていた。



 それが今、食い入るように見つめられ、自分の顔が赤くなるのがわかる。



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