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マッスルとマシュマロ
第33章 焚き火の前で
理人が、いつものはしゃいだ感じではなく、少し落ち着いた声で話し始めたのも、少しの酔いと、その場の雰囲気もあったのかもしれない。
「なんか、こんなふうに火を見てると、自分語りとか、したくなっちゃいますよね。」
そんな理人に、久美が言う。
「いいよ、なんでも話して。自分語り、しちゃえばいいじゃない?」
理人は、少しおどけたように言う。
「えー、俺だけじゃなんか、嫌ですよ。じゃあ、みんな、一つずつ、お互いに知らない自分語りを話しましょうよ。」
「なんか、いかにも、だね。でも、ま、いいんじゃない?だれからいく?」
久美が楽しそうに笑って、華と宏樹を見た。
華と宏樹は顔を見合わせて、何も言えずにいると、理人が話し始める。
「まあ、もちろん、言い出しっぺからですよね。」
理人は、火を見ながら話し始めた、
「いや、こんな自分語りしたくなるって思ったのはね、さっき、幸せだなーと思ったからなんだよね。」
そう言って、理人は久美の肩に自分の頭を乗せた。
久美は何も言わずに、ただ、白ワインを飲んでいるが、そのワインを飲むときも、理人の寄せてきた頭から頬が離れないように顔を寄せたままにしている、