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マッスルとマシュマロ
第33章 焚き火の前で
「ここにいるみんながさ、こうやって俺を当たり前に受け入れてくれてて。幸せだなって、」
「俺、性別に関係なく、恋に落ちちゃう、ノンバイナリーってやつなんだよね。その上、惚れっぽくて。
だから、大学時代、ずっと一緒に練習してたチームメイトに恋しちゃって。結構、自分史上最高に好きの気持ちが大きくなった相手だったんだよね。
そんな時、故障しちゃって。オリンピックの夢、ダメだってなっちゃうし、落ち込んで引きこもってたら、そのチームメイトが毎日のように僕の入院先に来て。退院しても、家のこととかも手伝ってくれて。
あんまり優しいから、もしかしたら、って期待して、告っちゃったんだよねー。それも、恥ずかしくも、自宅で抱きつきながら。
そしたら、「男同士でなんで何考えてんだ」って、ドン引きされて。そのあと、どうも、チームメイト全員にそのこと言われたみたいで。
それ以来、大学にも居場所なくて、友達もすっかりいなくなっちゃって、もう、なんだかなーって、一人でストイックに筋トレばっかりしてたら、オーナーに声かけてもらって。
で、宏樹さんも久美さんも、そんな俺ってわかってるのに、こうして受け入れてくれるから。幸せだなーって。」