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マッスルとマシュマロ
第41章 欲望に呑まれる
華は、頬を上気させながら宏樹のそばに立つ。
「ジムまで行ったら、少しでも早く会えるかしらと思って・・・来ちゃったの。」
柔らかく宏樹に話しかける華からは、普段よりももっと、石鹸の香りがしてくる。
「よかったよ・・・入れ違いにならなくて・・・。」
「本当に・・・」
少し恥じらうように、でも宏樹を見上げたその目は少し潤んでいるようで、宏樹は今すぐ華を抱き寄せたいような気持ちになる。
「どうする?・・・僕のうちまで、電車でいい?」
「もちろん・・・」
そして、華が、ためらいがちに小さな声で言った。
「早く会いたくて・・・早く二人きりに・・・なりたかったの・・・」
その言葉、その目つき、少し開いたぼってりした唇・・・宏樹は腰骨の奥が疼くような感触を覚えながら華を見つめた。
欲情・・・してくれているのか・・・
その時、宏樹と華の前に電車が入ってきた。
宏樹は華の手を取り、ホームに並んで電車を待っていた人並みの最後から電車に乗り込む。
まだ朝のラッシュの時間帯で、周りには人がたくさんいた。
宏樹はドア側の右側のバーに華を立たせ、華を庇うようにその横に、網棚のバーに掴まるように立った。