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マッスルとマシュマロ
第47章 心を柔らかくするもの
この2ヶ月、華のことを思い、二人になれる時間を作ることを一番に過ごしてきた。
あの人を、あのマシュマロのような肢体を、そしてあの焼けるほど熱い膣を味わうためなら、宏樹は自分の時間を全て捧げてもいいと思ってしまう。
あの優しさに包まれて、自分の心も解放して、身体ごと溶けてしまうような時間は、何物にも変え難いのだ・・・。
宏樹が、華を思い出して目を遠くに泳がせたのを、夏菜子は見逃さなかった。
「宏樹君、あなた、もしかして、恋、してる・・・?」
宏樹が、えっ、という顔をした。そして、しばらく考え込んだ後、その顔が赤面していた。
宏樹は、今、初めて気づいたのだ。
それが、恋、というものであることに。
これまで、学生時代から、周りの友人が騒いでいたもの。音楽や、文学で、なぜかその主題の中心にいるもの・・・。
胸が苦しい、とか、君に会いたくてたまらない、とか、ずっと手を繋いでいたい、とか・・・。
宏樹の中では、それは、ファンタジーやフィクションと同じだった。
これまで付き合ってきた女たちが、なぜか見たがる映画や、聴かせたがる歌の主人公たちが、恋について走り回り、高らかに歌い上げる姿は、そらぞらしい、とこれまで思ってきたのだ。
それなのに、華のことを思う気持ち、その時の自分の身体の反応、それを恋だと認識してみれば、それらのものが、急に色や音を持ち始め、自分の胸のうちに収まっていく。