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マッスルとマシュマロ
第6章 あの日の女


 久美が背筋のトレーニング器具を使い始めるのを後ろから見ながら、理人の声を聞いて、心の中で舌打ちするように思う。



 筋肉は、いらないんだ・・・あの、むちむちで、ポヨンポヨンの身体を崩して欲しくない・・・。



「宏樹くん、この、感じで、いいかしら?」
「ああ、そうですね。あと10回行けたら、ブレイクして、少し重めにしますよ。」

 理人が華を連れてジム内の説明を始めた。

 二人は更衣室に入っていく。



 あの女が入会したら、自分も更衣室に二人きりで入ることもできる。
 あの女を、自分の思うように、弄り尽くしたい・・・。

 宏樹は身体中にテストステロンが駆け回り始めるのを感じている。

「ふぅ・・・」


 久美が大きく息を吐き、宏樹は錘を追加する。

「いつもより、少し、足しますか?」
「そうね、もう少し行けそうかも。」


 宏樹は久美をトレーニングしながら、華をどう自分の手中に落とそうか、思いを巡らせている。

 背筋のトレーニングを終え、腹筋、上腕まで終えたところで、理人が華を連れて宏樹達のところへ来た。



「ひとまず、3ヶ月コースでどうですか?」


 理人が華に話しかけ、華は柔らかく頷いている。



「トレーナーは、久美さんのように、メニューで変えることもできますし、一人が担当することもできますよ。」


 華は、少し首を傾げ、久美の方をみた。


 上腕を鍛える器具から手を離しながら久美が言う。


「平井さんは、お子さんもいて、あんまり時間が取れないっておっしゃるのよ。週に2回程度なのよね?来られるの。」


「はい。火曜と木曜の16時半から2時間です。」

「じゃあ、トレーナー一人がいいですね。トレーナー名簿ありますので、その時間空いている人でご紹介しましょう。」



 宏樹はそこで声をかける。


「久美さんのご紹介だし、僕でよければ。」


 理人が驚いたように言う。


「宏樹さん、いいんですか?17時超えますよ?」

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