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マッスルとマシュマロ
第6章 あの日の女
その爽やかな微笑みに、華はもう、何も言えなくなった。
(恥ずかしがる私がきっと、おかしいんだわ・・・)
「では、もう一度着替えて、あちらで入会の手続きをしましょう。」
華を残し、更衣室から出ると、理人が寄ってきた。
久美はランニングマシーンで走っている。
理人は宏樹に擦り寄るように身体を寄せ、そっとその前腕筋を撫でながら、耳元に囁くように言う。
「宏樹さん、ありがとう。俺、ああいうタイプの女性苦手で。」
「知ってるよ。」
理人がねちっこい目で宏樹を見る。理人が自分をそう言う目で見ていることにも宏樹は気づいている。
性の多様さは本当に面白い。
宏樹は理人の頭をポンポンとしながら、笑顔で言ってやる。
「この後、久美さんと更衣室使うんだろ?」
「有酸素運動運動の仕上げですからね。宏樹さん、一緒にどうですか?」
宏樹は笑いながら、書類の準備を始める。
「そんなことしたら、上客になる平井様がビックリして逃げ出すぞ」
理人は、可愛く舌を出して、戯ける。
「そうですね、オーナーに叱られるな。」
そして久美の方に行く。