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恥辱の教授選挙
第2章 羞恥の助教
 エクセレント華ホテルの37階の豪華なレストランで寝巻と舞はディナーを楽しんでいる。

「さすが、エクセレント華ホテルのディナーは一流です。寝巻准教授は、ときどき、このレストランを利用されるのですか」
「准教授の安給料では、ときどきとはいかないよ。人生の勝負のときには使うかな」
「じゃあ、寝巻准教授の人生を左右する大勝負の話をしましょう。寝巻教授の作戦を聞かせてください」

 舞はニタニタしながら寝巻の顔を覗き込む。

「舞ちゃん、ニタニタしている時ではないよ。僕は真剣なんだから」
「もちろん、わかってますよ。でも、寝巻准教授の作戦に興味津々なのですよ」
「外野から眺めるようなことを言ってるけど、もし、あの足軽颯太が蓬教授の後任教授になれば、僕は左遷だけど、君だって、地方大学に放り出されるよ」
「えっ、寝巻准教授が左遷されれば、私が、准教授に昇任すると期待していたのですが」
「何を甘いこと言ってるの。寝巻が蓬教授の後任教授になれば、彼のお気に入りの助教の誰かを准教授に連れてくるよ。そうしたら、君も居づらくなるから、泣く泣く地方大学に行く羽目になるよ」
「そんなの嫌です。是非、寝巻准教授が教授の椅子をゲットしてください」
「まぁ、僕が教授になれば、君を准教授に昇任させることもできるなぁ」

 舞は、舞い上がらんばかりの喜びに感激している。

 デザートが運ばれ、ディナーはほとんど終わりになっているが、寝巻は、肝心の作戦は何も語っていない。

「美味しかったです。ご馳走様でした。でも、肝心の作戦の相談はマダですよ」
「それは、隣に誰かが居るところではできないよ。別の部屋で、ね」

 寝巻は席を離れ、クレジットカードで支払いをすませる。

「ちょっと豪華な部屋を予約しているから、部屋でワインを飲みながら、密談しよう」
「えっ、お部屋ですか」

 舞は悪い予感がしたが、黙っている。准教授の椅子をチラつかされては逆らうことはできない。

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