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性神がこの世に放った獣たち~起
第3章 その夜
 おそらく入眠した後、深い眠りにつくことができなかったのだろう。私は寝室の異変を察知した。目を開けると暗い部屋の中に誰かいることがわかった。そんなばかなことがあるわけないと。目を細め辺りを探ると、それが現実であることがわかった。体は休みかけているのに、意識だけは徐々にしっかりしてきた。影が四つ。私は絶望した。五十五の私が四人組の窃盗犯に立ち向かえるはずがない。それでも私は声を絞り出した。
「何をしている?」
「……」
 四つの影が私の方に向いた。二つの影が私にベッドに乗って来た。二人とも目と鼻、そして口が出せる覆面を被っていた。
「ここに金などない。警察には電話しないから好きなものを勝手に持って行け」
「あなた、どうしたの?」
 私の声に起こされた妻が、そう声を出した。すると別の二つの影が妻のベッドに乗り、布団の上から妻を押さえた。
「おい、止めろ! 妻から離れろ。さっきも言っただろ、好きなものを持ってさっさと出て行け!」
 私は四つの影に向かってそう言った。だが、どうも変だ。何かおかしい。そう私が感じた時だった。私のベッドの上の一つの影が、カッターナイフを私に見せてこう言ったのだ。
「マネー、マネー」
「日本人じゃないのか」
 希望の灯りが一つ消えた。言葉が通じない。
「マネー、マネー」
 英語を母国語していない発音だ。体格も欧米人のように大きくはなく、どちらかと言えば日本人に近い体格だ。
「マネー」
 私はそう言って、寝室に下げている私のスーツを指さした。カッターナイフで私を脅している男が、私のベッドの上に乗っているもう一人の男に指示を出した。カッターナイフの男が四人の中でボスなのだろう。指示された男は私のスーツから財布を取り出して、それを持って再びベッドに戻って来た。財布の中から札を取り出す。一万円札が十七枚入っていた。
「おい、これも持って行け。売れば二百万くらいにはなる」
 四人の仕事で十七万円は安すぎる、恐らくボスはそう考えるはずだ。私はナイトテーブルに置いたパティックフィリップをボスに渡した。ボスは私からパティックフィリップを受け取ると、しばらくそれを眺めていた。そしてその腕時計の価値を確かめるために、財布を取りに行かせた男と何か話している。中国語でもなかった。韓国語でもない。ただどこかで聞いたような言葉だった。アジアのどこか……どこだったろうか?
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